無痛分娩について
当院では約5割の方が、無痛分娩を選んでいます
無痛分娩とは、帝王切開や腹部の外科手術に多く使われる「硬膜外麻酔」という麻酔方法を使用しながらお産を進める、痛みを非常に少なく経膣分娩をする方法です。
アメリカなどでは、無痛分娩は一般的で、ごく普通に行われております。アメリカ疾病予防管理センターの調査によるとアメリカでの2008年に出産した女性の61%が無痛分娩でした。
フランスではもっと多い割合で無痛分娩が一般的に選択されています。最近では日本でも徐々に広がり始めました。
無痛分娩のメリット
-
耐え難い痛みともいわれる陣痛。いつから麻酔を始めるかにもよりますが、本格的な陣痛の痛みをほとんど体験することなく出産できます。
※1 完全に痛みがなくなるレベルまで麻酔を使用するといきむ力もなくなってしまうため陣痛の1/5~1/10程度がよいとされています。
-
無痛分娩を行う際は胎児心音モニターをずっとつけているため赤ちゃんや陣痛の異変にいち早く気づくことが出来ます。無痛分娩かどうかに限らず帝王切開が必要な場合がありますが、無痛分娩の場合、よりスムーズに手術に移行することができます。
※2 促進剤を使用している間はずっとモニタリングしています
-
痛みを我慢するということは、非常に多くの体力を消耗します。つらい痛みではなおさら。無痛分娩では、その体力を産後に温存できるため産後の体力の回復が圧倒的に早いです。
-
無痛分娩に適した子宮の出口の状態を見極めて計画を立てることに加え、無痛分娩では陣痛促進剤を使用するため、多くの場合、計画した出産日にスムーズにご出産となります。
-
スムーズな無痛分娩には、子宮の出口の状態が重要です。当院では、診察に基づき計画的に無痛分娩で出産する日を決るため、いつ陣痛が来るかわからずはらはらする心配が減ります。
※3 陣痛が早く来る、破水などで分娩がスタートすることもあります。
無痛分娩を選んだ理由
初産の方では、痛みに耐えられるか心配、体力に自信がないといった理由が多いですが、2人目や3人目の方では、陣痛は一度経験したのでもう十分、陣痛を体験するのがいや、1人目から年も取ったので体力的な理由から無痛を希望するといった理由も多いです。
初めてのお産の方が無痛分娩を選ぶ理由 TOP3
- 陣痛の痛みに耐えられるか心配
- 体力が持つか自信がない
- 陣痛が恐怖である
既にお産をされている方が無痛分娩を選ぶ理由 TOP3
- もう陣痛を経験したくない
- 年齢が上がったので体力的に陣痛を乗り越えられるか自信がない
- 陣痛が痛すぎてお産がなんだかわからなかったので、今回は、リラックスしてお産したい
無痛分娩の流れ
- 入院日の決定
- ママと赤ちゃんの状態を見ながら、無痛分娩に適した日にご入院いただきます。(約1週間~数日程度前に入院日を決定します)
- ご入院
- ・無痛分娩にて出産される日の当日にご入院いただきます。
・母子手帳、健康保険証などの必要な書類のみお持ちください。
当院にてご用意がありますので、入院中のパジャマやタオル、お産に必要なグッズはお持ちいただく必要はありません。
- 分娩前日
- ママの状態に合わせて必要な処置を行います。
夕食をゆっくり召し上がっていただいた後、夜はゆっくりお休みいただきます。お産が進みそうな場合などには、麻酔の管を入れておきます。
- 分娩当日
- 朝から点滴などの無痛分娩の準備を行いますので、夜間に陣痛が来ても安心です。
無痛分娩は、硬膜外麻酔を行いながら分娩を行います。
硬膜外麻酔は、背中から麻酔の管(カテーテル)を通じて麻酔のお薬を入れて痛みをとる麻酔です。この管を背中から入れますが、局所麻酔をしてから行いますので、ほとんど痛みはありません。
点滴にて陣痛促進剤を使用し、子宮の規則的な収縮を促します。陣痛の痛みが出てきたら麻酔薬をカテーテルから入れることで痛みをとりながら、お産を進めていきます。
通常のお産ですと、陣痛は出産するまでどんどん強くなっていきますので、背中をさすったり呼吸法で痛みを逃したりしていきますが、それでは痛みは取れませんのでかなりの体力を消耗します。無痛分娩ですと、付き添われるだんなさまとおだやかにお話しながら出産を迎えられます。出産後にはカテーテルを抜きます。
麻酔の効果は約1時間程度でなくなりますので、通常のお産同様、2時間程度の安静を経て、お部屋に歩いてお戻りいただけます。
※ママと赤ちゃんの状態により、処置のタイミングが前後することがあります。
当院での無痛分娩経験者のコメント
無痛分娩FAQ
- Q)無痛分娩のリスクはありますか?
- A)硬膜外麻酔による頭痛などが起きることがあります。
陣痛促進剤を使用することによるリスクがあります。
当院では日本産婦人科学会のガイドラインに沿って陣痛促進剤を使用しています。
リスクについては事前にご説明させていただいていますので、ご不明な点がありましたら診察の際にご確認ください。 - Q)無痛分娩ができないのはどういう場合ですか?
- A)極端に太っている方や、強い側湾症・腰椎ヘルニア、背骨の手術を行っている方はできません。逆子や、帝王切開・子宮筋腫の手術等の既往があるかたなど、リスクのあるかたは、出来かねますので、無痛分娩可能な大学病院などにご紹介させていただいております。(詳しくは担当医にご確認ください)
- Q)無痛分娩は予約制ですか?
- A)予約制ではありません。分娩予約されましたらご希望を早めに担当医にお伝えください。
- Q)無痛分娩の予約を取る方法は?
- A)無痛分娩をご希望される際には、担当医にその旨お伝え頂き、無痛分娩の説明をお受けください。その後、無痛分娩の承諾書、陣痛促進剤使用についての説明と同意書をお渡しいたします。こちらにご記入を頂きお渡し頂きました時点で予約が完了となります。